岩倉市のデマンド交通について考える
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令和元年6月議会において、デマンド交通として5年間運行してきた「のり愛い~わ号」を廃止し、空きタクシーを利用して補助する方法(ふれ愛タクシー)に切り替える補正予算が提出されました。
私が反対したことは、ほりいわお通信21に書きましたが、再度、その反対理由について整理しておきます。
ふれ愛タクシーを利用できる人は、デマンド交通である「のり愛い~わ号」と同様で、満65歳以上、障害者、妊婦、就学前児童、運転免許証返納者などに限られています。両者とも、いわゆる、電車、バスやタクシーなど誰もが乗れる公共交通とは違う、交通弱者という限定された人に対する福祉施策です。
私が職員時代、交通弱者の移動する権利を確保するという観点から片岡市長のもと、導入した施策でした。この施策を導入した背景には、移動権の確保とともに、岩倉市の公共施設の駐車場不足があります。つまり、狭い市域の中で公共施設が分散しており、地価が高いため多くの駐車場を確保しきれない現状をこのデマンド交通を利用することにより課題を解決するということです。
ですから、地域公共交通会議で諮らなければならない運賃については、当初片道300円でステークホルダーの理解を求めたわけですが、福祉施策であることや駐車場整備の代替手段として考えた場合、極力下げていく努力をすべきだと考えていました。企画部署から議会事務局長へ異動して、そして議員になってからも、この施策が何を目的としているかという基本を考え、発言してきました。市民1人を運ぶために税金がいくら掛かっているのかという指標も重要ですが、超高齢社会にあって、交通弱者である市民が安全に図書館などに出かけることができることをちゃんと確保することの必要性を今一度議論して欲しいものです。
新たなふれ愛タクシーの利用料金は、タクシー運賃が1500円未満のときは400円、1500円から3000円未満は800円、3000円以上は1500円ということです。
タクシー運賃 | 利用料(自己負担) |
1500円未満 | 400円 |
1500円~3000円 | 800円 |
3000円~ | 1500円 |
今までの「のり愛い~わ号」の利用実態としては、病院への足としての利用が多くを占めています。これまで、一律300円で通院できていたのに、病院から遠い所から通院する人は、料金が高くなる可能性があります。この事業は福祉施策であり、これまでの利用実態を福祉的な観点から見た場合には、受益者負担的に料金に差を設ける理由はありません。そもそも市内しか利用できないという制約がある中、こんな狭い市域でもって、居住地の便の良し悪しで料金が異なることに違和感を感じます。
また、1月20日の全員協議会における説明ではのり愛い~わ号同様300円の予定であったのに、迎車料金分として100円を上乗せされ、基本料金は400円とするという説明でした。利用実態として病院への通院が大半を占めている中、その人たちの視点に立てば、往復800円というのは大きな負担です。
これまで、他の自治体の巡回バスなどの交通施策と比較し、300円でも高すぎると評価されてきました。地域公共交通会議では、利便性が高くなるから100円の値上げは納得できるという意見であったようですが、その会議のメンバーには、のり愛い~わ号の利用者が入っていません。病院に通う高齢者の声を代弁する形で、この補正予算に反対したのです。
他にも、このふれ愛タクシーの問題点はあります。同乗者の範囲が緩いのです。家族の中に対象者がいれば、その利用目的が何であろうと(例えば居酒屋へ行くなど)、家族でタクシーが利用でき、税金が投入されるということです。私は、これまでの行政経験から、行政が本来やるべきこと、つまり、血税を投入することは、本当に困っている人のためというのが基本であり、所得がある、他の手段により代替できる人の利便性向上のため、満足度を高めるために税金は使われるべきではないと考えます。
これは、保育園の駅前送迎ステーション事業の議論と同じです。東京近郊で導入されたその理由は、待機児童解消です。大量の待機児童が発生する大都会の施策を待機児童ゼロの岩倉市に導入すること自体が間違っています。これは、実際に視察に行ってきた議員全員の共通の考えです。
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