議員辞職勧告裁判 第1回期日(7月14日)の報告

公開日: : 議員辞職勧告

 一宮地方裁判所で行われた第1回期日について報告します。

 弁護士2人と私が原告側として出席しましたが、被告である市側は欠席でした。

 裁判長の許可をいただき、私が5月31日の記者会見でお話した内容と近い陳述を次のとおり行いました。

 最初に、元多治見市長の西寺雅也氏から寄せられたメッセージの一部を紹介したいと思います。

「岩倉市議会の堀議員に対する辞職勧告の議決のみならず、いくつかの議会で多数派による特定の議員の意見の封殺やその地位からの追放を目論む行為が見られるようになってきました。由々しき問題です。社会の風潮が議会にも影響しているのではないかと危惧しなければならないような事態です。ましてや首長―行政と手を結び、少数派の議員を貶めるようなことがあるとすれば、それは議会の自殺行為であるといわなければなりません。」

 さて、令和2年12月議会において、創政会という最大会派が主導し、本会議の最終日に動議という形で、私に対する「議員辞職勧告決議」を提出し、賛成多数で決議されました。

 この決議の内容は、新聞等で報道され、議会だより、そして創政会が議会ごとに出している新聞でも大きく紙面を割き、市民に広く伝播されました。また、インターネットのwikipediaにも掲載され、全国、いや世界中に辞職勧告決議の内容が広まりました。

 動議に至る経緯に少しだけ触れたいと思います。

 12月18日に全員協議会が開催され、その場で、休業協力金についての経緯について説明を求められました。私からは、いわくら大地の里の家がもともと「食と健康の実践塾」というNPOの拠点として市民活動を行っていた場所であり、子ども食堂などが展開され、私がその意思を引き継いだこと。しかしながら、令和2年当初からのコロナ感染症の拡大、そして、4月7日に緊急事態宣言が出されるコロナ禍で、集客自体も憚られる状況で、営業を開始した苦悩、そして、愛知県の休業協力金から漏れた事業者を救うための岩倉市独自の休業協力金への申請の経過を説明し、議員から多くの質疑を受け、答弁させていただきました。

 今回の議員辞職勧告は、この全員協議会における質疑が前提になっています。しかしながら、この質疑は、休業協力金の返還における執行機関といわくら大地の里の家との関係を公平・公正にみておらず、市の無謬性を前提にし、誓約書にサインしているのに返還請求に従わなかったことで議員の資質を疑うなど、私に対する批判・攻撃が主であります。水野議員にあっては、市の休業協力金の制度設計も勝手に解釈し、間違った論述をしています。

 全員協議会は、地方自治法に基づく協議又は調整の場であり、その場で議長も言っているとおり、裁判所の代わりになるものではありません。全員協議会の中、そして決議文の冒頭でも、岩倉市議会政治倫理条例が引用されています。私の一連の行動が条例で規定されている「市民全体の利益向上を目的として行動すること。」「自らの行動を厳しく律し、議員としてふさわしい品位と識見を養うこと」という議員の責務に反するというわけです。

 本来は、このような事案が発生した場合は、政治倫理審査会で審査し、処分を決めるべきですが、今回、被告から提出された答弁書では、岩倉市議会政治倫理条例に反する行為を審査する「政治倫理審査会」の対象ではないとしています。

 岩倉市では、従来から、政治倫理審査会を開く対象である政治倫理基準を5項目に限定して定めており、それに当てはまらないという理由だと思われます。決議文では、私の行為が条例に反していると断定しつつも、その条例に基づく審査会は開けないという矛盾を露呈したことになります。

岩倉市議会政治倫理条例が使えないならば、地方自治法に基づく調査特別委員会、いわゆる百条委員会を設置することも可能です。現に、大阪府守口市では、令和2年9月28日、大阪維新の会所属の4市議らが新型コロナウィルス対応中の市幹部を長時間拘束したとされる問題で、市議会調査特別委員会(百条委員会)を開き、辞職勧告を相当とする報告書案を賛成多数で可決しています。

 さて、全員協議会の後、この議員辞職勧告が出されるという動きは、12月22日の議会最終日の数日前に、共産党岩倉市議団の桝谷議員から情報を受けました。最大会派である創政会の関戸議員が、全会一致で勧告するように説得しに回ってきたということでした。私は、すぐさま、議長に電話を入れ、私が休業協力金を詐取し、詐欺罪が確定しているならわかるが、今回のことで議員辞職勧告決議を出すことは、元議会事務局長の立場としても、第三者的に俯瞰しても行うべきではないと説明しました。議長も、そのことは理解しており、行うべきではないと言ってくれました。ならば、創政会の一員でもあるので、説得してくださいとお願いしました。しかし、説得できなかったという返事があり、議会の最終日で動議が提出されてしまった次第です。

 全員協議会の公平・公正でない質疑などを基に水面下で決議案を取りまとめ、動議という形で議案を提出するという手法は、これまで進めてきた議会改革から逆行する愚行で、あってはならないことです。ましてや、事実誤認や司法制度等に対する誤った認識に基づくものであり、その内容は、憲法に反し、私の人権をも侵害するものとなっています。また、「匿名による意見は議論しない」というのが岩倉市議会の考え方であるにもかかわらず、この「議員辞職勧告決議」では、匿名12名の「市民の声」を「非難と厳正な処分を求める多くの市民の声」として取り上げました。

 市を批判すれば「議員辞職勧告」となれば、議員活動は萎縮し、「行政に追従する議員」のみになり議会機能が低下し、引いては市民の不利益となります。   

 一方で、「議員辞職勧告」は法的拘束力を持たないから放置しておけばよい、というご意見もありますが、政治倫理条例で規定されている最も重い処分を、それも、岩倉市議会で初めて行われた「議員辞職勧告決議」として受けた打撃は、想像以上に大きいものがあります。市民から非難を受け、後援会からも政治活動用の看板も外され、信用を失ったことで疑心暗鬼に陥り、議員活動が委縮しました。多数派議員がまとまれば、簡単に一人の議員生命を奪うなど、何だってできてしまう恐ろしい手法です。今後、二度とこのような間違った決議がなされないよう、そして、新たに議員になる人たちが多数派でない場合でも、同調圧力に屈せず、自由な活動を行うことで、与党・野党など存在しない真の二元代表制の一翼として執行機関を監視し、評価できるまっとうな議会になる必要があります。

 全国でも、議員辞職勧告に値しない理由で、多数決が民主主義だという誤解のもと、数の力により「議員辞職勧告決議」を受けている議員が多くいます。既に裁判に突入している議員、私と同様、目前の選挙を諦めた議員もおり、その議員らの思いも一緒にこの裁判に臨んでいます。

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