給食センターの民間委託(一般質問とも関連)
新給食センターの建設、そして、建設を機に、調理業務を民間委託することが教育委員会の中で決定され、議会に報告されています。このこのと6月の一般質問で取り上げました。
民間委託の是非についての議論は、第2次岩倉市行政改革大綱及び行政改革実施計画に基づく行政改革の推進として、平成14年2月まで遡ります。当時、「事務事業及び民間委託検討委員会」を設置し、協議を重ねました。その結果、給食センターの調理業務の民間委託については、平成18年12月の報告書で、「民間委託のメリット、デメリットについて検証を重ねたが、現時点では、正規職員の退職に際し不補充で対応しながら、当面、食育や地産池消の推進など直営の責任を果たしていくものとする。」と結論づけられています。また、その後、平成21年に、岩倉市の民間委託等の考え方として「民間委託等検討ガイドライン」を設け、このガイドラインに照らし合わせながら、検討するということにしてきました。
平成18年当時、調理業務の民間委託を検討する中で、当然、コスト比較についても担当課としても色々調査をし、当検討委員会に資料を出しています。その中で、直営と民間委託の経費比較について、4,200食だけを条件とした場合と、直営と同様の配置(当時でいえば、正規10人、パート8人)の場合と2通りの積算をしており、全体で、前者では、1000万円民間委託の方が安く、後者では400万円強、民間委託の方が高くなると試算しています。ここには、異動する職員の人件費を含まれておりません。人件費だけを見ると、直営と同様の配置とした場合で、500万円ほど民間の方が安くなっていますが、本社管理費、会社利益、消費税といった直営では必要のない経費が加算されるため、民間の方が高くなるという結果でした。
しかし、最近の厚生・文教常任委員会協議会に提出された平成26年7月9日の資料では、直営における正規職員の人数と、民間委託した場合の正規職員の人数が異なった上での比較をし、民間の方が安上がりだと結論づけています。
民間委託した場合、会社の利益を生むためには、直営では必要のない、本社管理費、消費税といった経費が嵩む中で、人件費(労務費)をいかに削るかということになるわけです。
委託先の労働条件等については、公契約の観点からしても、市が一定関与すべきだという議論も進んでいる中、委託すれば人件費が大幅に下がるという単純な理論だけでは、いけないと思います。
教育委員会の議事録も資料要求として取り寄せましたが、まったく是非について議論された様子はありませんでした。
もちろん、議会の中でも議論もなく、報告を受けたのみで、民間委託が進められようとしています。
市当局は、民間委託の最大のメリットは、当初コストだと言っていましたが、途中から、民間活力の導入だというように変化させてきました。アレルギー対応や、セレクト給食など、民間事業者の方の経験を生かす、そういう説明でありました。
しかし、現場である給食センター関係者、教育委員会のこれまで一生懸命に努力してきた経緯がどこかに行ってしませんでしょうか。
給食を喜んで食べる子供たちの顔を見ながら、そして、その笑顔を見たいがために、研修等に出かけ、日々研鑽に努め、この何十年間継続してきたはずです。継続は力なりといいますが、その蓄積は、どこへ行ってしまったんでしょうか。民間のノウハウと言いますが、これまでの何十年間の学校給食のノウハウの蓄積は、センターこそにあるのではないでしょうか?そして、仮に、現在、民間事業者の方が進んでいる部分があるとしても、なぜ、それを真似できないとしてしまうのでしょうか。なぜ、民間でできて、直営でできないことがあるのか、私には理解できません。
これまでの民間委託の理屈は、コスト削減ありきでありました。しかし、それではいけないということで、ガイドラインを策定したわけです。このガイドラインに照らし合わせて民間委託が検討されたのでしょうか。さきほども書きましたが、教育委員会においても、このような視点における議論がまったくなされていません。
これまで連綿と市として責任を持って行ってきた、食育や地産池消などの推進といった、教育の一貫としての学校給食が民間委託するといっそう発展するというのであれば、その点について、現状はこうであるけども、民間委託するとこのようになる、それは、直営では到底なしえないことであるという説明が必要だと思います。
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